
【通解】
(自界叛逆や西海侵逼の二難が起こる)此の時に、地涌千界が出現して、法華経本門の教主である釈尊を脇士とする一閻浮提第一の本尊を此の国に立てるでしょう
【語句の意味】
○此の時=この御文の前に、「今の自界叛逆西海侵逼の二難を指す」とあります。当時の鎌倉幕府内で起こっていた権力闘争が自界叛逆難です。北条時宗の時に、幕府の転覆を企て、北条時輔と名越教時が起こした「二月騒動」のことを指します。文永9年(1272年)2月11日でした。蒙古国の侵略が西海侵逼の難です。これらが起こっている時を指して「此の時」と仰せです。
○地涌千界=地涌は大地から涌き出でることをいい、千界は千世界のことです。法華経の神力品に説かれる「千世界微塵等の菩薩摩訶薩の地より涌出せる者」を略した文で、地涌の菩薩様のことです。釈尊より付嘱を受け、末法に南無妙法蓮華経を広宣流布することを誓いました。文底の立場から拝せば、この地涌千界が日蓮大聖人様です。日蓮大聖人様が末法に御出現になり御本尊様を顕される、という意味です。
○本門=仏の本来の姿、本源である本地を明らかにした法門のことです。垂迹(仮りの教え)の法門を説いた迹門に対する言葉。法華経序品第一から安楽行品第十四までが迹門。従地涌出品第十五から普賢菩薩勧発品第二十八までが本門です。
○本門の釈尊=前述の法華経本門を説いた釈尊です。インドに誕生して19歳で出家。30歳で覚りを開かれ、その後72歳まで念仏や真言や禅などの教えを説きました。72歳から80歳の入滅までの8年間で法華経を説かれました。この一連の釈尊の姿を「始成正覚の仏」といいます。この始成正覚を打ち破り、久遠の昔から仏であったと本地を明かすのが法華経の寿量品です。「始成正覚の仏」に対し「久遠実成の仏」といいます。朝夕読んでおります「然我実成仏已来 無量無辺 百千萬億那由佗劫也(私が仏に成って以来、計り知ることのできないほどの長い時間が経過しております)」がそこにあたります。
○脇士=きょうじ・わきしと読みます。仏の側(脇)に仕えて仏の教化を助ける役目の大士。日寛上人は御本尊様のお姿から、南無妙法蓮華経の仏の脇士は釈迦尊と多宝仏、釈迦・多宝の脇士は上行菩薩・無辺行菩薩・浄行菩薩・安立行菩薩の四菩薩。さらに四菩薩の脇士として文殊菩薩や弥勒菩薩等がいることを御教示です。本尊抄では、小乗教を説いた時の釈尊の脇士は迦葉と阿難、法華経迹門までの釈尊の脇士は文殊菩薩と普賢菩薩と説かれております。また、阿弥陀仏は観音と勢至、薬師如来は日光・月光が脇士です。
○一閻浮提=閻浮提・南閻浮提ともいいます。古代インドの宇宙間で、中央にそびえる須弥山の南側に位置する国土。現代的な表現では、全世界のこと。
○本尊=『本尊問答抄』に「本尊とは勝れたるを用ふべし」(御書1,275㌻)と示されます。日寛上人は『本尊抄文段』で「只これ根本と為してこれを尊敬す。故に本尊と名づくるなり」と本尊という名目のいわれを示されております。どの宗派でも本尊があり、信仰の根本として手を合わせておりますが、「諸宗は本尊にまどえり」・「此皆、本尊に迷へり」(『開目抄』御書554㌻)の状態です。創価学会のように本門戒壇の大御本尊様を唯一無二と信じていたかと思うと、我が心の中に仏はいるのだから対称としての本尊は必要ない、といってみたり、池田大作が作成した、日蓮正宗の御本尊をまねた偽物本尊に手を合わせる信仰を「本尊にまどえり・本尊に迷い」といいます。「諸宗の者は畜に同じ。不知恩の者なり」と750年前に日蓮大聖人様から破折されているのが現在の創価学会です。身延日蓮宗や念仏・真言などもまったく同じです。
○可立此国=此の国に立つ可し、と読み下します。此の国は日本国です。日寛上人は『依義判文抄』で「日本国は本因妙の教主日蓮大聖人の本国にして本門の三大秘法広宣流布の根本の妙国なり」と仰せです。日本に生まれ合わせた貴い因縁を忘れないようにいたしましょう。
【日蓮正宗と身延派日蓮宗の違い】
この御文の解釈を間違ってしまうと身延日蓮宗になります。
○間違った身延派日蓮宗の読み方
このように、〈本門の教主釈尊の脇士と為りて〉と読みますと、釈尊が中心になり地涌千界は脇士になります。ゆえに身延派は、迹仏である釈尊から脱却できないままなのです。釈尊像を中心におき、四菩薩像を周りに配して、その後ろに曼荼羅本尊を置くような不可解な本尊形式になっております。
「此の時地涌千界出現して、本門の釈尊の脇士と為りて、一閻浮提第一の本尊此の国に立つ可し」
○正しい日蓮正宗の読み方
「此の時地涌千界出現して、本門の教主釈尊を脇士と為す、一閻浮提第一の本尊此の国に立つ可し」
ほんの僅かな違いですが、意味は大きく違ってきます。
〈本門の教主釈尊を脇士と為す〉と読めば、地涌千界が中心となり本門の教主釈尊が脇士となります。
【大聖人様が顕された御本尊様が根本】
そこで御本尊様のお姿をご覧下さい。中央に南無妙法蓮華経のお題目が認められ、左の方(かた)に釈迦如来、右の方(かた)には多宝如来が御座します。妙法蓮華経の脇士としての釈迦如来と多宝如来です。この御文の通りのお姿ではありませんか。正しい御本尊様を受持することで成仏の功徳を受けられます。成仏の功徳を受けることできるのは、正しい御本尊様を受持している私たち法華講衆です。自信と誇りを忘れずに精進をいたしましょう。
『経王殿御返事』に曰わく
「日蓮がたましひ(魂)をすみ(墨)にそめながしてかきて候ぞ、信じさせ給へ」 (御書685㌻)
(広布唱題行〔聖寿801年6月5日〕にて)