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「総在一念抄」

『総在一念抄』 正嘉2年 37歳 (御書115㌻)

問うて云はく、一文不通の愚人南無妙法蓮華経と唱へては何の益か有らんや。答ふ、文盲にして一字を覚悟せざる人も信を致して唱へたてまつれば、身口意の三業の中には先ず口業の功徳を成就せり。若し功徳成就すれば仏の種子むね(胸)の中に収めて必ず出離の人と成るなり。此の経の諸経に超過する事は誹謗すら尚逆縁と説く不軽軽毀の衆是なり。何に況んや信心を致す順縁の人をや。故に伝教大師云はく「信謗彼此決定成仏」等云云

【現代語訳】

質問します。一文字も知らず理解もできない愚かな人が、南無妙法蓮華経と唱えて、利益を受けることがあるのでしょうか。

答えます。文字を読んだり書いたりすることができず、一文字も知ることができない人も、信じて南無妙法蓮華経と唱えたてまつれば、身体と、言葉と、心の働きの三種類の行いの中で、先ず言葉での行為が仏の功徳を受けます。もし、言葉が仏の言葉になったならば、仏になる種が心の中に植えられたことになりますので、その人は必ず煩悩を離れて仏の覚りを得る人になります。法華経が諸経に超過していることは、法華経を誹謗する逆縁の者でも仏に成ることができると説いていることです。法華経常不軽菩薩品第二十三に説かれている逆縁の人々はこれにあたります。いうまでもなく、信心をする順縁の人が功徳を受けられることは間違いありません。伝教大師が「信ずる者も誹謗する者も彼此共に決定して仏に成る」と説かれています。

【語句の意味】

○一文不通=一つの文字も知らないこと。一文不知と同意。

○身口意の三業=身体と言葉と心の三種類の善悪の用きが原因となり、受ける善悪の結果。

○仏の種子=仏になるための種のこと。成仏の原因となるもの。ここでは、①口でお題目を唱えることで口業が仏に成る功徳を受ける。②口業が仏に成ることは、口業の根本にある意業(心)が仏である、ということ。③口業意業がともに仏であるということは、それらを収めている身体(身業)も仏である、と。三業は別々にはたらくものではなく不離の関係である。南無妙法蓮華経と手を合わせることで身業が清淨になれば、意業口業も清浄になり、南無妙法蓮華経と思うことは意業が清浄であり、口業身業も清淨となる。

○此の経の諸経に超過すること=法華経を誹謗する者は、誹謗した罪を受けて一度は地獄の苦しみを受けるが、やがて誹謗をした縁により、再び法華経にめぐり会って成仏することが説かれていることを指す。大聖人様はこのことを、『法華初心成仏抄』では「法華経を強く説き聞かすべきです。信ずる人はその時に仏に成ります。反対する人も逆縁で仏に成ります。何故ならば仏に成る教えは法華経以外にはないからです(趣意)」(御書1,316㌻)と仰せにです。

○不軽軽毀の衆=法華経常不軽菩薩品第二十三に説かれる。不軽菩薩を誹謗した衆生がやがて不軽菩薩によって救われたこと。

○信謗彼此決定成仏=伝教大師の依憑集の言葉で、「信謗彼此決定菩提」のこと。信ずる者は順縁の成仏、誹謗する者は逆縁の成仏となり、ともに成仏がかなうこと。法華経の功徳が無限であり、差別無く仏に導く慈悲に満ち充ちていること。

(広布唱題行〔聖寿801年8月7日〕にて)