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「妙心尼御前御返事」

『妙心尼御前御返事』 建治元年8月16日 54歳 (御書900㌻)

このやまひは仏の御はからひか。そのゆへは浄名経・涅槃経には病ある人、仏になるべきよしとかれて候。病によりて道心はおこり候か

妙心尼が夫の病気平癒の御祈念を大聖人様にお願いしたときの御返事です。拝読の御文の意は、

ご主人が病気になったのは仏様がお計らい下さったものでしょうか。なぜこのように申し上げるかといえば、仏様がお説きになった浄名経や涅槃経には、病気になった人は仏の覚りを得ることができる、とあるからです。そのように考えますと、私たちは病気になることで仏道修行に励む大切さに気づくのでしょう

というものです。

妙心尼の夫は元気なときにはそれほど信心に励んではいなかったようです。ところが、病気になってからは、

日々夜々に道心ひまなし

との信心に変わりました。「日々夜々」ですから昼も夜もです。一日中です。「道心」は仏道修行ですから、夜、寝る間も惜しんでの仏道修行に励んだことがわかります。まさに「病によりて道心はおこり候」です。日蓮大聖人様の教えて下さる仏道修行は「自行化他の南無妙法蓮華経」です。病床にあって、お題目を唱えその姿で看護の人や見舞いに来た人を折伏している姿が目に浮かびます。

この「道心」によって、

今生につくりをかせ給ひし小罪はすでにきへ候ひぬらん。謗法の大悪は又法華経に帰しぬるゆへにきへさせ給ふべし

との功徳を受けるのです。生まれてから今日までに犯した世間的な罪はすでに消滅し、過去世からの謗法の大悪も御本尊様に帰依したことで消滅しました。

さらに、

中有の道にいかなる事もいできたり候ゞ、日蓮がでしなりとなのらせ給へ。(乃至)いかなる悪鬼等なりとも、よもしらぬよしは申さじとおぼすべし

と続きます。この箇所は、病気で気弱になったり、疑いの心をもつことのある凡夫の私たちを励まして下さる所です。

例え病気が良くならなくとも心配はありません。今世から来世に向かう中有の旅で、何か困ったことや不都合なことがあったならば、「私は日蓮大聖人様の弟子です」と名乗りなさい。行き先を妨害する悪い鬼がいたとしても、末法の仏である日蓮のことを知らない悪鬼はおりませんので、必ず守ってくれます。そして来世には善き処まで連れて行ってくれます、と。

病気をしない人はおりません。生ある者には必ず死が訪れます。病は死に結びつくものですから、私たちは恐れます。恐れるがゆえに対応を誤り邪な薬を飲んでしまいます。病を得たときに、正しい対処方法の第一は南無妙法蓮華経の良薬を服用することです。そのことで次から次に諸天善神が現れて、私たちを守ってくれます。「日蓮が弟子と名乗る」ことは、南無妙法蓮華経と唱えることです。互いに忘れないようにいたしましょう。

春はもうすぐです。梅が香り、杏や桜や花水木の開花はまもなくです。良き季節を思い今日の寒さを乗り越えてまいりましょう。ご精進・ご精進。

(広布唱題行〔聖寿801年2月6日〕にて)