『三大秘法稟承事』 弘安5年4月8日 61歳 (御書 1,594㌻ )
朔日講拝読御書〔聖寿802年11月1日〕『三大秘法稟承事』 弘安5年4月8日
末法に入って今日蓮が唱ふる所の題目は前代に異なり、自行化他に亘りて南無妙法蓮華経なり。
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◇日蓮大聖人様の「南無妙法蓮華経」を唱えましょう
末法で日蓮が唱える題目は、釈尊や天台大師等が唱えた題目とは違い、自行と化他行にわたる文底秘沈の南無妙法蓮華経である。
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日蓮大聖人様の南無妙法蓮華経を唱えましょう、としました。それは、今月の拝読御書としてあげました御文の前に、「題目とは二意有り。所謂正像と末法となり。正法には天親菩薩・竜樹菩薩、題目を唱へさせ給ひしかども、自行計りにして唱へてさて止(や)みぬ。像法には南岳・天台等は南無妙法蓮華経と唱へ給ひて、自行の為にして広く化他の為に説かず。是理行の題目なり」とあるからです。
ここで大聖人様が、南無妙法蓮華経は二種類ある、と明示されます。一つは正法時代と像法時代に唱えられた南無妙法蓮華経です。二には末法時代に唱えられた南無妙法蓮華経です。正法時代にインドで天親菩薩や龍樹菩薩が南無妙法蓮華経と唱えました。像法時代には中国の南岳大師や天台大師や、ここには名前が挙げられておりませんが天台大師の弟子である妙楽大師や、我が国の伝教大師最澄も南無妙法蓮華経と唱えておりました。しかし、これらの大師は、自己の悟りを目的とする自行のためだけの題目であり、他の人々を仏道に導く化他の題目ではなかった、と大聖人様はご指摘です。
自行の題目、理行の題目は同じことです。龍樹や天台は釈尊の教えを学んだ結果、法華経が唯一つの教えであることを悟りました。したがいまして法華経の題目である南無妙法蓮華経を唱えたのです。ところが、正・像の時代は南無妙法蓮華経を広める時でもなく、また仏からの付属(法を広めるための使命)もありませんでした。そこで、お題目を唱え、自らの仏の境界を観じていたのです。このような修行を自行の題目を唱えた、理行の題目を唱えた、といいます。次に挙げます『当体義抄』に詳しく示されております。紙面の都合で趣意にいたしました。直接御書を拝してくださるとなお理解が深まります。
『当体義抄』 (御書 702㌻)
「南岳や天台は霊山で本門寿量品の説法を聴聞し、悟りを得ている。その南岳や天台の時代は妙法流布の時ではなかった。そこで、妙法を止観と言い換え、一念三千・一心三観の修行をした。ただし、南岳も天台も南無妙法蓮華経と唱えることで悟りを得られることを知っていた。南岳は法華懺法に『南無妙法蓮華経』と記している。天台は『一切衆生を成仏に導く妙法蓮華経に南無する』、『妙法蓮華経を敬う』、『妙法蓮華経に帰命する』等と記している。伝教は、『臨終の時に南無妙法蓮華経と唱える』と述べている。
このような文証があるが、南無妙法蓮華経を弘めなかったのは二つの理由からである。一つは弘める時ではなかったこと、二つには弘める役目ではなかったからである。妙法は末法に流布する大法であり、弘通するのは付属のある地涌の菩薩である。南岳や天台はそのことを知っており、末法に出現する導師に弘通のお役目をお譲りになったのである(趣意)」
この『当体義抄』での御教えを拝しますと、大聖人様が南無妙法蓮華経と始めて唱えられたのではないことと、同じ南無妙法蓮華経であっても、内容が違うことが分かります。その違いを、
「末法に入って今、日蓮が唱ふる所の題目は前代に異なり、自行化他に亘りて南無妙法蓮華経なり」とお示し下さるのです。
「末法」のお言葉で「正法時代と像法時代」との違いを、「前代」のお言葉は「南岳や天台、伝教」との違いを明かされます。なかでも大切なことが「自行化他に亘りて」のお言葉です。自らの修行である「自行」と、周りの人々を教化する「化他行」の南無妙法蓮華経こそ、日蓮大聖人様が建長5年4月28日に唱え始めた「本門の題目」なのです。
自行は勤行・唱題が根本であり、化他行は折伏です。自行化他の両面、車に譬えれば両輪です。両輪が揃って回転する時に、車は目的地に向かって進むことができます。片方だけでは同じ所をクルクル回るだけです。
私たちの信心も同じです。悩みや苦しみから解放されたい。迷いやとまどいの少ない日々を過ごしたい。人に優しくしたい、人から優しくされたい。経済的な余裕が欲しい。病を克服したい。家族や友人知人が健康であって欲しい。世界中から争いがなくなって欲しい、等々。挙げればきりがありません。
が、願いを叶えるためには車の両輪のように、勤行と唱題の修行、そして折伏の修行に精進することで、願いは叶えられます。御本尊様を御守りし、本山にもお寺にもお参りしている。ご先祖の供養も欠かさない。それでも、願いがなかなか叶わない、と思うのであれば、自行化他のお題目を唱えましょう。
精進はコツコツ進むことです。精進は諦めないことです。思いを定めて、諦めずにコツコツと進むことで素敵な世界が広がることをお約束くださるのが日蓮大聖人様の教えて下さった南無妙法蓮華経です。
新米が出回り、つい食べ過ぎる美味しい季節になりました。寒暖のある季節でもあります。お互いに体調の維持管理に心掛けてまいりましょう。
(朔日講〔聖寿802年11月1日〕にて)