広布唱題行[聖寿804年5月4日]
『立正安国論』 (御書248頁6行目)
夫釈迦の以前の仏教は其の罪を斬ると雖も、能仁の以後の経説は則ち其の施を止む。然れば則ち四海万邦一切の四衆、其の悪に施さずして皆此の善に帰せば、何なる難か並び起こり何なる災か競ひ来たらん。
《意訳》
そもそも、釈尊が過去世で菩薩として修行していたときには、災難の原因となる誤った教えを止めるために、それを弘める者の命を絶つこともありました。ところが、インドに能仁(釈尊)として出現された後には、誤った教えを止める手段として、それを弘める者に布施をしないよう説かれました。したがって、世界中の人々が誤った教えを弘める者への布施をやめ、すべての人々が正法を信仰するようになれば、次々に起こる大きな災難に見舞われることもなくなります。
《語句の意味》
〇釈迦の以前の仏教=「如来昔国王と為りて菩薩道を行ぜし時、爾所の婆羅門の命を断絶す(仏が過去世で国王と生まれ、菩薩の修行をしているときに、その修行を妨げようとした多くの婆羅門の命を断絶した)」(御書244頁)ことが説かれている涅槃経を『立正安国論』の第七問答で引用される。婆羅門とは、インドのカーストの最上位にある司祭者のこと。
〇能仁=能忍とも書く。釈尊のこと。五濁悪世に出世して人々を能く慈しみ思いやる、との意。「仁」には思いやり、慈しみ、情け等の意がある。
〇施を止む=布施をしないこと。布施は仏道修行の六波羅蜜の重要な項目。布施をすることで物に対する執着から離れることができる、とされる。私たちの立場で「施を止む」は、謗法の寺院や神社などに供養をしないこと。
〇四海万邦=四海も万邦も多くの国、あらゆる国の意。
〇四衆=比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷の四種類の衆生のこと。ここでは、全ての人々の意で用いられている。
〇其の悪=謗法の教えを弘める寺社仏閣、および神官や僧侶が「其の悪」の根源。
〇此の善=法華経の教え。末法の今日では、総本山富士大石寺に御安置の「本門戒壇の大御本尊様」の教えのこと
《大聖人様は絶対平和主義》
報道によれば、世界全体の軍事費が過去最高を記録したとのことです。ロシアによるウクライナ侵略などの影響があるにせよ、軍拡競争が続く現実は、まことに悲しい限りです。武器によって保たれる平和が長続きしないことは、歴史が何度も証明しているではありませんか。なぜ、このような簡単な真理が理解されないのでしょうか。
『立正安国論』に示されるように、正しい信仰の功徳によって、自然災害さえも未然に防ぐことができるのです。ましてや、人間の邪な心が直接の因となる戦争を、防ぐことができないはずがありません。邪宗邪義を破折し、正法正義を広宣流布することで、真の世界平和が実現します。大聖人様が「強く説き聞かせなさい」と。日興上人が「広布の時までは、身命を惜しまず励みなさい」と。日如上人は「折伏を忘れたら日蓮正宗ではない」と。いずれも、私たちの使命の大きさと尊さを教えてくださるお言葉です。
キリスト教などが言う「目には目を、歯には歯を」という報復の心ではなく、大慈大悲の御本仏、日蓮大聖人様の弟子檀那たる自覚を新たに、世界広布を願い共どもに励みましょう。
(広布唱題行[聖寿804年5月4日]にて)